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No.178 不動産取引のトラブルを訴訟以外で解決する「ADR」という方法


不動産取引において「解決しそうにない」「中立的な、信頼できる専門家に仲立ちしてもらいたい」「泣き寝入りしたくない」というようなケースで、訴訟によらずに消費者をトラブルから解決する「ADR(裁判外紛争解決手続)」という方法をご紹介します。

ADRとは

ADR とは、Alternative Dispute Resolutionの略で、「裁判外紛争解決制度」と訳されますが、訴訟によらずに紛争を解決する手法をいいます。

 

通常、「訴訟」は、当事者間の紛争について裁判所が最終的な判断を示すことによって、その争点に最終的な解決を与えます。これに対してADRは当事者間の自由な意思と努力に基づいて紛争の解決を目指すものです。

ADRの種類

✅和解の仲介

 

仲介委員が当事者間の交渉を仲介し、和解を成立させることによって紛争解決を図るものです。

和解の仲介によってなされた合意(和解)は、裁判所で行う和解と異なり、和解により義務を負った当事者がこれを履行しなかった場合でも、合意(和解)に基づいて直ちに強制執行することはできません。

 

 

✅仲裁

 

仲裁委員が判断(仲裁判断)を行い、当事者がその仲裁判断に従うことで紛争解決を図るものです。

仲裁判断は、裁判の判決と同様の効力が認められています。そのため、「申請に先立って、仲裁委員の判断(仲裁判断)に従う旨の両当事者の合意が必要」「仲裁判断に対して、不服を申し立てることは原則できない」「仲裁判断がなされると、仲裁判断に納得できなくても、対象の紛争については裁判を受けられなくなる」などの条件があります。

ADRの特徴

✅手続が簡便である

 

厳格な手続法はなく、臨機応変に処理を行うことができる。

 

 

✅解決までの時間が短い

 

訴訟なら第一審で半年~2年程度の時間を要することも少なくなく、控訴審・上告審へと進んだ場合には、さらに時間を要しますが、ADRでは1ヶ月に1回、合計3ヶ月程度の早期解決が期待できます。

 

 

✅当事者による自主的な解決である

 

話し合いを前提とする手続きであるため、当事者の意向を尊重した手続・解決を目指すことが可能です。中立な立場の専門家が仲介するため、法的妥当性も確保されます。

 

 

✅経済的負担が少ない

 

訴訟ではコスト面で当事者に大きな負担がかかることが多いですが、ADRではそのような負担(例えば弁護士費用、鑑定費用など)を要することなく解決に至るケースも少なくなありません。このため、紛争一般について経済的であるといえます。

 

 

✅非公開である

 

ADRでは手続きが非公開であるため、争いの内容や存在自体を知られたくない場合には適しています。

さいごに

ADRの手続きは、紛争の一方当事者の申立てにより始まります。しかし、相手方がADRを望まない場合には、ADRは不成立となります。ADRはあくまでも当事者の意思を尊重する手続きですので、解決を強制されることはなく、両当事者はいつでもADRを終了させることができます。そして、お互いに話し合いがついて解決に至った場合、紛争の蒸し返しを避けるために「和解契約書」を作成して終了となります。

 

もし不動産の取引において、解決しがたいトラブルが起きてしまった場合には、訴訟の前段階として、このADRをご検討してみることをお勧めします。

 

 

この記事を書いた人

国本

桜木不動産事務所代表。宅地建物取引士。

三井のリハウス、大東建託(株)退職後、2019年2月大阪府寝屋川市に

不動産売却専門の「桜木不動産事務所」を設立。

両手仲介を行わない不動産売却エージェントとして日々奔走しています。

好きなものは、阪神、浜省、森高、水無月、早く走る車。

嫌いなものは、ゴキ。