
人の住んでいない住宅は劣化が進みます。将来自分で住む場合はもちろん、売却する時のためにも、資産価値を維持しておくことは非常に大切です。ここでは、自分でできる空き家管理のチェックポイントをご紹介します。
チェックすべきポイント
ここでは、「所有者責任に及ぶ恐れのあるような危険個所」「防犯・防火」「建物や設備を長持ちさせる」の3つに分類してその代表的なチェックポイントをご紹介します。
<所有者責任に及ぶ恐れのあるような危険個所>
✅建物
外壁のひび割れ、設備の水漏れ(水道を止めていない場合)、雨漏りなどを確認します。屋内外の水染みをチェックします。特に屋外バルコニーの軒裏など、モルタルの落下につながるおそれのある部分を確認します。バルコニー手すりに笠木がある場合、隙間の有無を確認します。樋やバルコニー排水口の異物(枯れ葉やボールなど)の詰まりを確認します。
✅庭
木の切れ端などが落ちていれば処分します。シロアリがそこにすみつき、建物に移動する場合があります。草刈りや植栽の剪定、落ち葉や投棄物の処分を行います。
✅屋根
最初は目視による確認を行います。次に建物から少し離れた場所から双眼鏡で屋根を見てみましょう。
✅外壁
建物の周囲を周って目視してください。見えにくいところは双眼鏡を使用します。もし隣の敷地に入らないと見えない場合は、必ず許可を得てください。
✅樋(とい)
樋が外れたり、金物が外れたりしていないかを確認します。
✅バルコニー
手すり(鉄骨)の根元の腐食などを確認します。手すりの根元が断絶し上部だけでつながっている状態は、手すりの落下の原因となります。
✅門・塀
錆びたり壊れたりしていないかを確認します。また、ブロック塀の目地が割れ、ブロックとブロックの間が開いているように見える場合は危険です。何らかの原因で倒壊する恐れがあります。
<防犯・防火>
✅鍵
戸締まりのチェックは当然ですが、サッシに補助錠(ホームセンターなどには粘着性テープ等で取り付ける手軽なものもある)を付けることにより侵入者を防ぐ効果が期待できます。
✅雨戸のない窓
出窓などで雨戸がついていない窓は、台風などによる飛来物で窓ガラスが割れる危険性が高いので、中から薄いベニア板のような物を剥離性が高い養生テープ(養生後のテープを剥離する際に糊残りが少なくきれいに剥がせるもの)等で留めておくと、被害を軽減できる可能性があります。
<建物や設備を長持ちさせる>
✅通気・換気
通気や換気などをせずに空き家を放置しますと、結露などによる湿気により建物が傷んだり、カビが生えてそこにシロアリが発生したりすることがあります。
対策として、換気扇を活用することが考えられますが、換気扇による連続換気は降雨時に室内に湿気を取り込むことになるため逆効果です。
✅給湯器の凍結予防
一般的な給湯器本体には、凍結予防のヒーターが付いているため、給湯器に通電しておきます。給湯器が貯湯タンク式のものは水抜きをします。また、配管の排水も行います。気温が氷点下に下がることが予想される場合は、水を少しずつ流しておきます。
✅排水口の悪臭予防
排水トラップの水が蒸発してなくなりますと、封水が切れて臭いが上がってきたり害虫が侵入したりする恐れがありますので、時々水を流し、その後の蒸発量を少なくするため、ゴム栓がついている箇所(洗面・浴室)などはラップでゴム栓を包んで栓をし、それ以外のところはテープで塞いでおきます。
✅和室の畳床湿気予防
湿気の予防のため、マンション、戸建てにかかわらず、畳はあげておきます。畳が日焼けで変色するからと表面を新聞紙などでおおうのは、余計に湿気がこもりますので避けます。
清掃
✅室内清掃
・室内のホコリ取り
・床面掃き拭き清掃
・サッシ及びサッシ廻りの拭き清掃
・水廻り拭き清掃
・建具の拭き清掃
・その他
✅屋外清掃
・敷地内のごみや落ち葉の処理
・玄関、アプローチ、ガレージ内などのホコリ取り
・犬や猫の糞尿処理
・排水会所や側溝のごみや泥の処理
・前面道路部分のごみ処理
・その他
敷地内のトラブル予防
✅ごみの投棄
ごみの投棄は、衛生の悪化や悪臭の発生、害虫の発生、野良猫の集中、景観の悪化など、近隣に様々な悪影響を及ぼします。したがって、空き家の敷地内に投棄されたごみを発見した場合は、速やかに処分しなければなりません。
✅犬・猫の糞尿対策
野良猫など動物の糞尿は、悪臭や衛生上の問題など近隣に大きな迷惑を及ぼします。それらの糞尿の処理は勿論、嫌悪剤の散布などによる対応策が考えられます。
さいごに
空き家を管理せずに放置しておくと、様々なリスクが発生します。また、適正な管理がされていない空き家は、建物の価値を引き下げます。 空き家を保有し続けること自体がリスクになるのです。
今後の処遇について、結論が出るまでの一時的な空き家状態なら大丈夫ですが、問題解決を先延ばしにしているに過ぎないようなケースなら、早めに売却などの検討をした方がよいでしょう。
ご相談は、空き家・空き地問題に積極的に取り組んでいる桜木不動産事務所までお気軽に!

国本
桜木不動産事務所代表。宅地建物取引士。
三井のリハウス、大東建託(株)退職後、2019年2月大阪府寝屋川市に
不動産売却専門の「桜木不動産事務所」を設立。
両手仲介を行わない不動産売却エージェントとして日々奔走しています。
好きなものは、阪神、浜省、森高、水無月、早く走る車。
嫌いなものは、ゴキ。