
窓口の"たらいまわし"、"杓子定規"な回答、"融通の利かない"対応など、行政の「お役所仕事」にイライラさせられることは少なくありません。寝屋川市では令和2年4月から「お役所仕事を卒業します」プロジェクトが始まっているようです。
お役所仕事とは
「形式主義に流れ、不親切で非能率的な役所の仕事振りを非難していう語」(by広辞苑)
一言でいうと「公務員はマニュアル対応しかしない」という意味です。公務員を少し馬鹿にするような言い方ですね。
典型的なお役所仕事の例
✅要件があり、とある部署に行ったもののたらい回しにされる
✅申請書類を出しに行っても印鑑1つ押さないで跳ね返される
✅とにかくロボットのようにマニュアル対応しかしない
お役所仕事はなぜ起こるのか
✅現場に裁量がない
民間であれば、現場の裁量の範囲内であとから修正を加えれば良い事でも、役所の人間に裁量は認められていません。なぜなら、服務宣誓をしているからです。服務宣誓とは、憲法、法令、条例に基づいて職務を全うする、という宣誓です。これに違反した場合には免職も含めた処分を受ける事になります。
✅減点主義
組織で生き残るためには、売上を上げる必要も利益を上げる必要もありませんので、失点を出して消されないことが大事という人の集団になってしまいます。サービスの向上より、ミスをしないということが評価される組織であるためです。
✅平等主義
市民全員に平等に接する必要があります。特定の誰かに対して、他の人より優遇と思えるようなサービスをしてしまうと"ひいき"と捉えられてしまうので、民間企業のように"顧客ファースト"という考え方が出来ません。また、仮に顧客ファーストの素晴らしい対応をしたとしても、給料や出世などの面において全くインセンティブが働かないなど、価値を生み出したことに対し正当に評価される仕組みがありません。
✅解雇されない
売上や成績が上がらず、職場にいにくいということもありませんし、よほど悪いことをしない限り免職にはならないという理解が一般的かと思います。たまにニュースで、勤務実態が悪くて免職、というケースは聞きますが・・・。
寝屋川市の取り組み
✅開庁時間延長
✅「予約窓口」導入
✅「接客のプロ」導入
✅「タッチパネル」導入
✅「オンライン申請」導入
外部からも職員を募集し、窓口の改革を行っていくそうです。ただ、あくまで感想ですが、例えば次のような仕組みを導入しないかぎり、なかなか本質の部分を変えることは難しいのかなとも思います。
✅成果主義を徹底し、20代からでもどんどん出世をさせる
✅接客態度について評価基準を作り、表彰や臨時ボーナスで評価する
✅年功序列を廃止し、昇任試験制度に変更する
✅副業を解禁し、稼ぐことの難しさや意義を学べるようにする
※寝屋川市「お役所仕事を卒業します」
※寝屋川市・号外ネット「お役所仕事を卒業します!」
さいごに
私たち不動産業者は毎日のように役所にお邪魔します。物件調査のためです。それこそ20年前はと言うと、「愛想が悪くて、聞きたいことがあっても聞きにくい」というイメージでしたが、今はどこの役所でも本当に親切に教えていただけます。「役所って変わったな~」と実感できるのですが、この寝屋川市の取り組みで、ますます市民に近い存在になっていただければと思います。期待しています。
「お役所仕事」は公務員を非難する言葉ですが、むしろ民間企業にもお役所仕事のようなものは存在します。少なくとも私自身は、顧客ファースト、サービス精神旺盛で、お客様に接していきたいと思います。

国本
桜木不動産事務所代表。宅地建物取引士。
三井のリハウス、大東建託(株)退職後、2019年2月大阪府寝屋川市に
不動産売却専門の「桜木不動産事務所」を設立。
両手仲介を行わない不動産売却エージェントとして日々奔走しています。
好きなものは、阪神、浜省、森高、水無月、早く走る車。
嫌いなものは、ゴキ。