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No.229 競売物件に占有屋はいない!


競売物件と聞けばどんなイメージをお持ちでしょうか。映画の世界では、やくざ屋さんが居座って立ち退き料を要求するシーンを思い浮かべますが、今はこういう「占有屋」と呼ばれる人はもういません。

占有屋とは

「担保不動産が競売に付される際に不動産を占有し、担保価値を損なったり、競売を妨害して高額な立退料を要求する者をいう。」とあります。(引用:アットホーム「不動産用語集」)

 

言うまでもなく、権利のない占有は違法ですが、その排除には金銭または労力を要することになります。

ひと昔前の占有屋対応

競売物件の買受人が、買い受けた物件を占有者から引渡してもらう方法は、まずは占有者から任意に明け渡してもらうことの交渉から始めます。しかし、任意に明け渡してもらうには、相応の立退料(明渡料)を要求されます。

 

そこで話し合いがつかなければ、法的手続をとることになります。裁判所に、占有者を被告として家屋明渡訴訟を提起し、判決を得たうえで強制執行を行います。強制執行となれば、占有者がどんなに頑張っても、文字どおり強制的に立ち退かすことができます。 

 

しかし、判決を得て強制執行を行うには、お金と時間がかかります。裁判費用以外に、弁護士費用もかかります。また、訴えを提起してから、判決を得るまでに4~5ヶ月は覚悟しなければなりませんでした。

現在の占有屋対応

そこで、法改正により、不動産競売においては「引渡命令」という制度ができ、この制度によれば、強制執行に比べ、簡易迅速かつ費用も低額に強制執行手続を行うことができるようになりました。

 

引渡命令とは、不動産を競売で買い受けた人(買受人)に簡易迅速に不動産の占有を確保してもらうために、申立てにより、執行裁判所が、債務者、所有者及び一定の要件のある占有者に対し、競売不動産を買受人に引き渡すべきことを命ずる裁判のことをいいます。

 

そして実際の執行手続きは、執行官が行います。執行官が作業員を連れて現場に赴き、作業員が執行官の指示のもと家財道具をすべて運び出し、鍵も交換します。こうした執行官を補助する執行補助者という強制執行のプロもいます。

さいごに

このように、簡易な手続きで強制執行手続きが可能になったことで、高額な明渡料(立退料)を払う必要がなくなったため、明渡料目的の占有屋を排除できるようになりました。ですから、今の競売市場には占有屋はいません。

 

ただ裏話として、「占有者がやくざ屋さんのときは話が早くていい」とよく聞きました。ヤクザ屋さんは立退料目的ですから、金額さえ話がつけば解決できるからです。困るのは老人、病人、子供が占有している(住んでいる)ときです(占有屋でなく、占有者)。移転先のないこういった人を立ち退かせるのは、いくら法的には可能であっても、人道的に問題だからです。

 

 

この記事を書いた人

国本

桜木不動産事務所代表。宅地建物取引士。

三井のリハウス、大東建託(株)退職後、2019年2月大阪府寝屋川市に

不動産売却専門の「桜木不動産事務所」を設立。

両手仲介を行わない不動産売却エージェントとして日々奔走しています。

好きなものは、阪神、浜省、森高、水無月、早く走る車。

嫌いなものは、ゴキ。