
不動産において、敷地と道路との関係は非常に重要です。建物の建築をするには、"接道義務"があるからです。不動産の資産価値を決めるのは道路と言っても過言ではありません。ここでは、道路について簡単に説明いたします。
接道義務とは
建築基準法では、建物を建築するには、敷地が幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければなりません。これを「接道義務」と言います。この条件を満たしていないと、原則として建築確認を申請しても、許可は下りません。
これは、火災が起こったり、急病人が出た場合、狭い道路としか接していない建物や狭い入口しかない土地では消防車や救急車が入れないため、二次的な災害を防ぐための決まりとなります。
また、見た目は道路でも、建築基準法上の道路ではない、ということがあるので注意が必要です。
道路の種類
✅道路法による道路
国道、都道府県道、市区町村道として認定した道路。いわゆる公道と呼ばれるものです。
✅位置指定道路
特定行政庁(市区町村長または都道府県知事)から、「この部分が道路です」とその位置の指定を受けて、私人が造る道路です。宅地開発の際に造られる道路がその代表例で、普通は私道です。
✅既存道路
昭和25年の建築基準法施行日に既に存在した道路で、公道か私道かは問いません。また、建築基準法施行日の後に都市計画区域に編入された場合は、編入した時点で存在する道路がこの道路に該当します。
✅法令による道路
都市計画法や土地区画整理法などの法令によって造られた道路のことで、宅地開発で都市計画法の開発許可を受けて造られた道路がその例です。また、法令による事業が2年以内に執行される予定があり、特定行政庁(市区町村長または都道府県知事)が指定したものも、この道路に該当します。実際に道路がなくても、道路があるものと見なされます。
幅が4メートル未満の場合は「セットバック」
幅が4メートル未満の道路は、将来的に4メートルの幅員を確保することを目的に、道路後退、いわゆる「セットバック」をすることを条件に建築確認を受けることができます。将来的には建築基準法に定められた道路の条件を満たす状態にしなければなりません。こういった道路を「2項道路」と呼びます。
セットバックとは、道路の中心線から2メートル後退した線を敷地境界線とすることをいいます。セットバックした部分は、建ぺい率や容積率を算定する際の建築面積には含まれませんし、ここには門や塀も建てられません。
また、道路を挟んだ向かい側が川や崖地の場合には、向かい側の道路の境界線から一方的に4メートルの位置までセットバックしなければなりませんので注意が必要です。
私道だけに接する場合
私道であっても、特定行政庁(市区町村長または都道府県知事)の位置指定道路になっていることが確認できれば、建築基準法上の道路として利用することもできます。ただ、第三者の私道だけに接していて、その私道を利用しなければ敷地に出入りできないという状況の場合、私道を利用するための負担金やその他の負担が生じないか確認しなければなりませんので、注意が必要です。
さいごに
私道だけに接している土地だからという理由で、銀行側が担保価値を低く見積もることや担保評価が出せないとされるケースもあります。不動産の取引において、敷地内の権利関係や境界関係だけでなく、接道している道路の状況なども確認しておくことが大切です。

国本
桜木不動産事務所代表。宅地建物取引士。
三井のリハウス、大東建託株式会社退職後、2019年2月大阪府寝屋川市に
不動産売却専門の「桜木不動産事務所」を設立。初年度売却相談件数108件。
両手仲介を行わない不動産売却エージェントとして日々奔走しています。
好きなものは、阪神、浜省、森高、水無月、早く走る車。
嫌いなものは、ゴキ。