No.276 相続登記に権利証が必要ない理由


「権利証」は、不動産の所有権を取得する登記手続きをしたときに、権利者に対して法務局から交付される書類です。売買を原因とする所有権移転登記には権利証が必要ですが、相続を原因とする所有権移転登記には必要ありません。その理由を説明いたします。

権利証とは

「権利証」というのは俗称で、法律上の正確な呼び名ではありません。法律上は、平成17年の不動産登記法改正前は「登記済証」、改正後は「登記識別情報」といいます。登記識別情報とは、12桁の英数字の羅列である暗証番号のようなものです。「登記識別情報通知書」という用紙に記載されており、用紙の下部を折り込むことで見えないように隠されています。これを知っている人がその不動産の所有者と見られます。

売買による移転登記に権利証が必要な理由

権利証は、不動産を売却したり贈与したりなどして手放すときに提出する書類です。通常、「権利証を持っている人=所有者」だと考えられますから、それを差し出すということは、所有者本人が不動産を手放すことを認めていることになります。したがって、権利証を提出させることによって、本人確認書類の一つとするわけです。

 

また、金銭の借り入れの際の担保として、不動産に抵当権(根抵当権)を設定するときにも、権利証を提出します。この場合は、権利証を提出することにより、自らが所有する不動産に担保権が設定されてしまうことを承諾していると判断するわけです。

相続登記に権利証が必要ない理由

登記済権利証は申請人が登記名義人本人であることを証する書類です。しかし、相続による登記申請の場合は、本人の意思による所有権の移転では無いので、本人の意思確認が必要でないから、権利証が不要なのです。権利証の代わりに、戸籍謄本や遺言書、遺産分割協議書などで、不動産の所有権が誰に移ったかを証明することになります。

さいごに

ただし、権利証は不要だといっても、あるなら提出しましょう。被相続人が所有していた不動産を把握するためには有用な資料となります。あくまで権利証は、相続による所有権移転登記の「法定添付書面」にはなっていない、という意味だとお考えください。

 

また、相続の場合でも権利証が必要になるケースもありますので、まずは権利証の有無を確認し、ない場合には司法書士に相談するようにしましょう。

 

 

この記事を書いた人

国本

桜木不動産事務所代表。宅地建物取引士。

三井のリハウス、大東建託株式会社退職後、2019年2月大阪府寝屋川市に

不動産売却専門の「桜木不動産事務所」を設立。初年度売却相談件数108件。

両手仲介を行わない不動産売却エージェントとして日々奔走しています。

好きなものは、阪神、浜省、森高、水無月、早く走る車。

嫌いなものは、ゴキ。