No.294 権利証なしでも不動産売却を行う方法


不動産売却を行う際には、不動産の登記名義人であることを証明する、いわゆる権利証が必要となります。しかし、権利証を紛失してしまったというケースではどうすればいいのでしょうか。権利証なしで不動産を売却する方法をご紹介いたします。

権利証とは

権利証とは、法令上は「登記済証」という名称であり、登記が完了した際に法務局から買主等の登記名義人に交付する書面です。この登記済証は、登記名義人本人からの申請であることを確認する資料として法務局に提出することとされていることから,一般的には「権利証」とも呼ばれています。平成16年の不動産登記法の改正により、現在は、登記済証(権利証)に代わる本人確認情報手段として、「登記識別情報」の制度が導入されています。

紛失した権利証を他人に悪用される危険性

権利証だけで、勝手に不動産の名義変更をしたり売却したりすることは登記手続き上できません。権利証以外に印鑑証明書と実印で、本人であることと本人の意思を確認する必要があるからです。もし仮にそれら全てを何らかの方法で手に入れた第三者に名義変更をされたとしても、実体上の所有権自体を奪われるものではありません。そのような場合は、その登記が無効であることを証明できれば、裁判を経てその所有権移転登記を抹消することができます。

不正登記防止申出制度

権利証を悪用される心配は必要ないとはいえ、権利証を取得した者が登記名義人になりすまして不正な登記を行う可能性がまったくないとは言い切れません。このような場合には、登記名義人の権利を防衛するための「不正登記防止申出の制度」を利用するとよいでしょう。

 

不正登記防止申出の制度とは、不正登記を迅速に監視できるシステムです。この制度を利用することで、届出から3カ月間のうちに法務省が関知した登記情報を知らせてもらうことができ、身に覚えのない登記があった場合にはただちに取り消すことができます。

権利証なしで不動産売却を行う方法

では実際に、権利証を紛失してしまった場合、所有権移転などの登記手続きはできないのでしょうか。登記済証、いわゆる権利証は紛失しても再発行されることはありませんが、その場合でも不動産の売却ができなくなるというわけではなく、その他の方法で登記名義人であることを証明することができれば売却は可能です。以下のどちらかを利用します。

 

✅事前通知

 

事前通知とは、本人確認のために法務局が郵送にて問い合わせを行うことです。不動産売却の際の登記申請において、権利証を提示できないことを説明すれば、法務局から登記名義人の住所へ事前通知が届きます。この通知は本人限定受取郵便が利用されること、実印を押印する必要があることから、本人確認が可能となっています。 事前通知が発送されてから2週間以内に申出をすることで登記名義人であることを確認してもらえます。

 

✅資格者代理人(司法書士など)による本人確認情報の提供の制度

 

この制度は、司法書士などの資格者代理人に本人確認情報を提出してもらうものです。司法書士などの有資格者に本人確認を行ってもらうことで登記名義人であることが証明され、権利証がなくても不動産売却が可能となります。

さいごに

もし権利証を紛失してしまっても、登記名義人であることを証明して不動産売却を行うことが可能です。もし紛失してしまっても慌てず、不明な点があれば法務局へ問い合わせましょう。

 

 

この記事を書いた人

国本

桜木不動産事務所代表。宅地建物取引士。

三井のリハウス、大東建託株式会社退職後、2019年2月大阪府寝屋川市に

不動産売却専門の「桜木不動産事務所」を設立。初年度売却相談件数108件。

両手仲介を行わない不動産売却エージェントとして日々奔走しています。

好きなものは、阪神、浜省、森高、水無月、早く走る車。

嫌いなものは、ゴキ。